琵琶は、多くのパーツが象牙でできています。
まず糸口、流派にも拠りますが、
大きなブロック状の象牙が使用されています。
また、三日月、一の駒、など、
細かな象牙細工が施されています。

しかしながら、
アフリカ象は、この1世紀に約3%まで減少しているのです。
その減少の主たる原因は象牙。
羊毛などとは違い、生きているママでは象牙はとれない。
当然ながら、象牙のためには殺さねばなりません。

このように、環境保護の観点から、
象牙は極力使用しない方が、
よいことは間違いありません。

これに対して、
いま日本の国内市場に関しては1974年以前に日本に輸入されたものであるため、
ワシントン条約の範囲外であること、
日本の国内市場のために、乱獲がされ密輸されている、
とする紐付けが認められないこお、
適正な象牙の取引は、保護地区の保護資金としても還流されているといえること、
日本の象牙販売は登録制であり、監督され、制限されていること、

などから、
日本の市場内に存在する象牙に関して、
需給に見合う対価で購入し、使用することは、
問題ない、とする主張もあります。

その主張の是非は、
多くの方が既に論じられていますので、
立ち入りませんが、

少なくとも、
世界中からの、象牙に対する視線は、
厳しくなれこそすれ、緩まることはないといえます。

そこで、
琵琶も、可能な限り、代替品を試み、
音色と両立できるよう、試行錯誤をしたいと考えています。

一つ目は、
人工象牙、

これは、アコースティックギターのブリッジ(琵琶でいくフクジュ)に使われる
人工象牙です。
Graphtec 社から、ブリッジに加工する前の、
ブロック状の人工象牙を手配頂いたもの。
40ドルですので、約5000円。
移送費はありますが、象牙に比べたら、格安です。

色味は似ている、
重さも、さほど変わらないか、
粘性も、ほどよくある。
が、少し柔らかい、気がします。

そして、削ると、クルクルと削り節のように、
ツルんと剥けてしまう。
これでは、細かくサワリをとるのが難しい。

多くの人工象牙は、
見た目の色味が優先されるのですね。
造作は、ゆってしまえば型に流し込めばできるので、
ノミやヤスリで削ることを前提としているわけでは、
ないようです。

琵琶の場合は、
色味は、この際、似ていなくてもよいのです。
真っ黒でも、虹色でも、
一番は、サワリの感度と、響の音質、

やはり人工物は、
プラスチック問題などの、廃棄の問題はありますが、
供給による自然環境のダメージは比較的小さいので、
期待はしたいですよね。

また、他の品で、探します。